オリオン座にまつわるお話しはふたつあります。

一つは、蠍に刺されて死んでしまったという有名なお話し。
巨人の狩人のオリオンは、毎日「世の中に俺ほど強い者はいない!」と威張っていました。
女神ヘラは、これを聞いてとても怒り、大きな蠍に命じてオリオンを刺し殺してしまいました。
星座になってからもオリオンは大蠍を恐れて、蠍が天に昇ってくると西の地平へ隠れ、蠍がいなくなってから怖ず怖ずと東の空へ出てくるようになりました。
実は、この他にもう一つ、オリオンにまつわるお話しがあるんです。
狩りの名人でもあるオリオンは、月と狩りの女神アルテミスに愛されていました。
しかし、女神の兄である太陽の神アポロンはそれが気に入りません。
ある日、オリオンが頭だけを出して海の中を歩いているのを見つけると、金色の光を浴びせ、妹のアルテミスに「いくらお前が弓の名人でも、あそこに光っているものは射抜けまいて」と言うのです。
それを聞いたアルテミスは「まあ見ててごらんなさい」と言い、矢を放ち、見事に光っているものを射抜いたのでした。
しかし、浜にうちあげられたのは愛するオリオンだったのです。
アルテミスは深く悲しみ、大神ゼウスにお願いして、自分が銀の馬車で夜空を駆けるとき、いつでも会えるようにオリオンを星座にしてもらったのでした。
それで冬の夜空にオリオンが登ってくる頃、近くを月が通り過ぎていくのです。